出血性十二指腸潰瘍を合併した侵襲性肺アスペルギルス症の1剖検例
餌取 諭 中野 亮司 佐治 花衣 細川 桂輔 剱持 喜之 佐藤くみ子
北海道勤労者医療協会勤医協中央病院呼吸器内科
症例は,既往に高尿酸血症,原発性胆汁性肝硬変をもつ65歳の男性.急性の発熱,咳,呼吸困難により入院となった.単純CTでは両側肺に多発する浸潤影を認めた.セフトリアキソン,アジスロマイシンで治療を開始したが,呼吸不全が悪化し,第2病日に気管挿管,人工呼吸管理を開始した.真菌感染も考えミカファンギン投与を開始したが,第3病日に血圧が低下し,心肺蘇生を行うも死亡した.病理解剖を行い,侵襲性肺アスペルギルス症と診断された.十二指腸には出血を伴う潰瘍を認め,潰瘍底にアスペルギルスを認めた.
Received 9 Dec 2016 / Accepted 3 Apr 2017
連絡先:餌取 諭
〒007-8505 北海道札幌市東区東苗穂5条1-9-1
北海道勤労者医療協会勤医協中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(4): 287-290, 2017