右蝶形骨大翼転移による眼窩先端部症候群を呈した肺扁平上皮癌の1例
中山 真吾 岩見 枝里 池村辰之介 中島 隆裕 松﨑 達 寺嶋 毅
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科
肺癌が蝶形骨など眼窩骨に転移し脳神経症状をきたすことはまれである.症例は80歳,男性.肺扁平上皮癌T2N3M0 stage IIIBに対して化学放射線療法を施行した.1年6ヶ月後,右視力低下と右鼻側半盲をきたし,右蝶形骨大翼転移が判明した.さらに眼球運動障害と脳神経障害が進行し,眼窩先端部症候群と診断された.緩和的局所放射線療法により右顔面痛は軽減するも神経症状は不変であった.肺癌の転移により眼窩先端部症候群を呈することはまれであるが,視力障害や視野異常を認めたときは転移の関与も留意する必要があると考えられた.
Received 6 Jan 2017 / Accepted 13 Mar 2017
連絡先:寺嶋 毅
〒272-8513 千葉県市川市菅野5-11-13
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(4): 270-273, 2017