胸膜から生じ播種を認めた石灰化線維性腫瘍の1例
狹川 玲a 榛沢 理a,b 磯貝 進a 白井 俊純c 伊藤 栄作d 明石 巧e
a青梅市立総合病院呼吸器内科
b東京医科歯科大学医学部附属病院呼吸器内科
c青梅市立総合病院胸部外科
d同 病理科
e東京医科歯科大学医学部附属病院病理部
症例は55歳,女性.健診の胸部X線写真で異常陰影を指摘され,胸部単純CTでは右横隔膜上に石灰化を伴う隆起性病変を認めた.CTガイド下生検では診断がつかず,1年間の観察で変化は認めなかったが,診断を兼ねて切除を試みた.腫瘍は有茎性で横隔膜に付着していた.病理組織では線維性病変の中に砂粒体を多数認め,免疫染色ではvimentinのみ陽性で,胸膜に発生した石灰化線維性腫瘍と診断した.胸膜発生のものは非常にまれであり,その特徴について考察した.
Received 5 Oct 2016 / Accepted 6 Feb 2017
連絡先:狹川 玲
〒198-0042 東京都青梅市東青梅4-16-5
青梅市立総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(4): 265-269, 2017