アーク溶接時に生じた金属ヒューム吸入が原因と考えられた肺胞出血の1例
赤池 公孝a,b 一安 秀範a 永野 潤二b 岸 裕人b 岩越 一c 福田浩一郎b
a熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
b熊本市民病院呼吸器内科
c同 感染症内科
症例は20歳,男性の工業専門学校生.授業で鉄板のアーク溶接を行った後に,胸部X線写真で肺炎像を指摘され当科入院となった.搬送時は大量の喀血を認め,胸部単純CTでは両側びまん性に小葉中心性の斑状陰影を認めた.気管支肺胞洗浄液は血性で,吸引痰の細胞診ではヘモジデリン貪食マクロファージを検出した.ピアスなど金属による皮疹の既往を考慮し,アーク溶接による金属ヒューム吸入が原因の肺胞出血と判断した.アーク溶接によるヒューム吸入での肺胞出血の症例はまれな症例と考えられたので報告する.
Received 22 Dec 2016 / Accepted 20 Feb 2017
連絡先:赤池 公孝
〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1
熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(4): 244-248, 2017