繰り返す月経時喀血の鑑別診断に苦慮した肺動静脈奇形の1例
高原 豊 加藤 諒 中川 研 水野 史朗 長内 和弘 栂 博久
金沢医科大学病院呼吸器内科
症例は28歳,女性.月経時喀血を繰り返すため当科を受診.胸部単純CTでは左S8にすりガラス陰影と左S6に肺動静脈奇形が認められた.気管支鏡検査で下部気管から左右主気管支に怒張血管が認められ,左B8からの気管支肺胞洗浄でヘモジデリン貪食マクロファージを認め,肺子宮内膜症が疑われた.偽閉経療法と肺動静脈奇形に対しては経カテーテル的コイル塞栓術を施行し,その後喀血は改善した.我が国において,これまでに肺動静脈奇形の症例で月経時期のみに喀血を繰り返した報告はみられず,低侵襲処置で治療しえたため文献的考察を加え報告する.
Received 12 Aug 2016 / Accepted 17 Jan 2017
連絡先:高原 豊
〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
金沢医科大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(3): 215-219, 2017