家族性地中海熱の経過中に悪性胸膜中皮腫を発症した1例
近 壮一朗a 井上 純人b 五十嵐 朗b 東海林佳兼b 柴田 陽光b 久保田 功b
a山形大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
b同 内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科)講座
症例は61歳,男性.反復性の胸膜炎,腹膜炎の発症がみられることから遺伝子検査を行ったところ,家族性地中海熱と診断された.コルヒチンの内服を行っていたが,その後も胸膜炎,腹膜炎を繰り返していた.その後右胸膜の肥厚を認めるようになったため,胸膜全層生検を施行し悪性胸膜中皮腫と診断された.悪性中皮腫は多くの症例でアスベストの曝露が関与していると考えられているが,本症例では曝露歴が認められなかった.家族性地中海熱の経過中に悪性中皮腫を発症する例は,胸膜以外を含めてもきわめてまれであると考えられた.
Received 23 Mar 2016 / Accepted 19 Dec 2016
連絡先:井上 純人
〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2
山形大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
日呼吸誌, 6(3): 195-199, 2017