肺扁平上皮癌の経過中にアガリクスによる薬剤性肺障害を発症した1例
邨野 浩義a 井上 純人b 東海林佳兼b 五十嵐 朗b 柴田 陽光b 久保田 功b
a山形大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
b同 内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科)講座
症例は70歳,男性.肺扁平上皮癌切除術後経過観察中に発熱があり,胸部画像上浸潤影を指摘され,細菌性肺炎として抗菌薬による治療を受けたが改善しなかった.胸部単純CTで左肺にすりガラス陰影を認め,気管支肺胞洗浄では総細胞数増多および細胞分画ではリンパ球増多を認めた.発症2ヶ月前からアガリクスを内服しており,同剤の薬剤リンパ球刺激試験は陽性であった.ステロイド薬の投与により臨床症状と肺の陰影は改善した.担癌患者は健康補助食品を使用している場合もあり,詳細な服薬歴の聴取が必要と考えられた.
Received 14 Mar 2016 / Accepted 26 Dec 2016
連絡先:井上 純人
〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2
山形大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
日呼吸誌, 6(3): 186-189, 2017