アトピー性皮膚炎の患者に発症した敗血症性肺塞栓症の2例
川合 祥子a,b 高橋由希子a 北園美弥子a 村田 研吾a 和田 曉彦a 高森 幹雄a
a東京都立多摩総合医療センター呼吸器内科
b埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
症例1は42歳,男性.未治療のアトピー性皮膚炎があり,インフルエンザと気管支喘息発作で末梢点滴を開始後,点滴刺入部の静脈炎,MRSA血流感染症および敗血症性肺塞栓症を発症した.症例2は33歳,男性.アトピー性皮膚炎治療を自己中断中に針治療を受けた直後に,感染性心内膜炎および敗血症性肺塞栓症を発症した.アトピー性皮膚炎患者では針治療や末梢点滴など軽微な侵襲を契機に皮膚を侵入経路とした敗血症性肺塞栓を発症する可能性があり,敗血症性肺塞栓の発症契機を確認しえたことは貴重であり報告する.
敗血症性肺塞栓症 感染性心内膜炎 アトピー性皮膚炎 針治療 末梢点滴ライン
Received 10 Oct 2016 / Accepted 8 Feb 2017
連絡先:高森 幹雄
〒183-8524 東京都府中市武蔵台2-8-29
東京都立多摩総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 6(3): 170-173, 2017