パスツレラ呼吸器感染症の臨床的検討
石黒 卓a 鍵山 奈保a 吉岡 浩明b 西田 隆a 奥田慶太郎a 倉島 一喜a 高柳 昇a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b同 検査部
呼吸器検体から分離したPasteurella multocidaの臨床的意義についての検討は少ない.当院でP. multocidaを分離した25例(定着4例,慢性下気道感染症16例,肺炎,肺化膿症4例,膿胸1例)を後方視的に検討した.男性12例,動物への曝露歴10例,呼吸器系基礎疾患を21例に認めた.肺炎,肺化膿症,膿胸は抗菌薬と胸腔ドレナージで改善した.P. multocidaが分離される症例は呼吸器系基礎疾患を高頻度で有し,多くは慢性下気道感染症の病型をとるが,一部は急性感染を呈した.
Pasteurella multocida 肺炎 慢性下気道感染症 人畜共通感染症 定着
Received 26 Dec 2016 / Accepted 21 Feb 2017
連絡先:石黒 卓
〒360-0105 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 6(3): 144-149, 2017