呼吸不全を契機に成人後に診断され,側弯症との鑑別を要した先天性ネマリンミオパチー
原田 公美a 池上 達義b 大井 一成b 野口 進b 深尾あかりb 寺下 聡b
a日本赤十字社和歌山医療センター放射線診断科部
b同 呼吸器内科部
ネマリンミオパチーは,筋力低下と筋線維中のネマリン小体を特徴とする先天性筋疾患である.呼吸筋障害の頻度は高いが,成人後に呼吸不全で診断される例はまれである.症例は側弯症を有する38歳の女性でCO2ナルコーシスにて人工呼吸を要した.側弯症による慢性呼吸不全の急性増悪と考えたが高口蓋所見より神経筋疾患を疑い,筋生検でネマリンミオパチーの診断に至った.本症は側弯症を高率に合併し,一方呼吸筋障害は潜在性に進行するため,呼吸不全を呈しても本症の存在が看過されうる.したがって高口蓋などの身体所見を綿密にとることが重要である.
Received 30 May 2016 / Accepted 27 Oct 2016
連絡先:池上 達義
〒640-8558 和歌山県和歌山市小松原通4-20
日本赤十字社和歌山医療センター放射線診断科部
日呼吸誌, 6(2): 109-113, 2017