結核性胸膜炎に合併した線維形成型胸膜中皮腫の1例
尾崎 良智a 井上 修平a 大内 政嗣a 上田 桂子a 和田 広b 坂下 拓人b
a独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科
b同 呼吸器内科
症例は80歳代の男性.8年前に肺結核の治療歴があった.労作時息切れ,右胸痛を主訴に前医を受診し,結核性胸膜炎の診断で抗結核薬の投与が開始された.胸部単純CTで壁側胸膜の肥厚を認めたため胸膜中皮腫を疑われ,当科紹介となった.局所麻酔下胸腔鏡検査による壁側胸膜生検で,肉芽腫性炎症と抗酸菌を検出した.結核治療を継続したが,右胸膜肥厚の悪化およびPETで多発リンパ節・骨転移を認めた.再度の胸膜生検で紡錘形異型細胞の増殖を認め,腫瘍細胞のp16遺伝子ホモ接合性欠失を確認し線維形成型胸膜中皮腫の診断が確定した.
線維形成型中皮腫 結核性胸膜炎 局所麻酔下胸腔鏡検査 p16遺伝子ホモ接合性欠失
Received 25 Oct 2016 / Accepted 21 Nov 2016
連絡先:尾崎 良智
〒527-8505 滋賀県東近江市五智町255
独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科
日呼吸誌, 6(2): 104-108, 2017