IgG4関連疾患と診断した胸膜炎の1例
生山 裕一a 蜂谷 勤a 小松 雅宙a 中村 智次b 山本 洋c 花岡 正幸c
a諏訪赤十字病院呼吸器科
b同 病理診断科
c信州大学医学部内科学第一講座
症例は70歳,男性,咳嗽と労作時息切れが出現し,近医で右胸水を指摘された.胸水はリンパ球優位,アデノシンデアミナーゼ(ADA)高値,滲出性で結核性胸膜炎が疑われたが確定診断に至らず,当科を紹介受診した.右胸膜生検にてIgG4陽性形質細胞を多数認めIgG4関連呼吸器疾患と診断した.FDG-PET検査では胸膜以外の多臓器病変は認めなかった.副腎皮質ステロイド剤による治療を開始し改善を認めた.リンパ球優位,ADA高値の胸水を認めた場合,結核性胸膜炎とともにIgG4関連疾患は鑑別疾患として重要と考え報告する.
IgG4関連疾患 結核性胸膜炎 胸水 アデノシンデアミナーゼ(ADA)
Received 4 Jul 2016 / Accepted 9 Nov 2016
連絡先:蜂谷 勤
〒392-8510 長野県諏訪市湖岸通り5-11-50
諏訪赤十字病院呼吸器科
日呼吸誌, 6(2): 78-83, 2017