血漿交換が奏効した肺胞出血と脳病変を伴う劇症IgA血管炎の1例
濵田 昌平a,b 一安 秀範a 赤池 公孝b 永野 潤二b 福田浩一郎b 興梠 博次a
a熊本大学医学部附属病院呼吸器内科,
b熊本市民病院呼吸器内科
症例は66歳,男性.急性扁桃炎後の肺炎疑いで入院となった.肺胞出血,腎障害,関節痛,腹痛,下肢に触知可能な紫斑を認め,皮膚病理所見等からIgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)と診断した.本症例は,肺,皮膚,腎,消化管,脳に血管炎病変を合併した劇症例でステロイドパルス療法が奏効せず人工呼吸管理となったが,血漿交換が著効し,維持療法終了後も再発はない.腎不全や消化管出血例は報告されているが,肺胞出血と脳血管炎を伴い,血漿交換で救命しえた劇症例はまれであり,貴重な症例と考え報告する.
IgA血管炎 ヘノッホ・シェーンライン紫斑病 肺胞出血 脳血管炎 血漿交換
Received 16 Jun 2016 / Accepted 31 Oct 2016
連絡先:濵田 昌平
〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1
熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(2): 69-73, 2017