治療に難渋した肺MAC症による胸膜炎を合併した遷延性気胸の1例
a赤穂中央病院呼吸器外科
bうえおか内科医院
*現 姫路赤十字病院呼吸器外科
症例は75歳の女性.気胸と胸水貯留で当院へ紹介され,肺MAC症による続発性自然気胸と胸膜炎と診断した.発症から時間が経過し胸膜炎による胸膜の肥厚により肺の膨張障害がみられ,ドレナージと胸腔鏡手術では気胸が治癒しなかった.EWS®による気管支充填術を施行したところ,気漏は停止した.しかしその後も肺は再膨張せず慢性呼吸不全に進展し,肺炎を合併して初診から1年2ヶ月で死亡した.肺MAC症に合併する気胸の予後は必ずしも良好ではなく,本例のような胸膜炎を合併した場合はさらに診断と治療が急がれる.
Mycobacterium avium complex 気胸 胸膜炎 Endobronchial Watanabe Spigots
Received 16 Mar 2016 / Accepted 28 Jul 2016
連絡先:水谷 尚雄
〒670-8540 兵庫県姫路市下手野1-12-1(現所属)
赤穂中央病院呼吸器外科
日呼吸誌, 5(6): 331-335, 2016