初期悪化を繰り返した結核性髄膜炎・粟粒結核の1例―脳MRIと胸部CTの対比―
平澤 康孝a,b 寺田 二郎a 河野千代子b 山田 嘉仁b 佐々木結花c 巽 浩一郎a
a千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
b JR東京総合病院呼吸器内科
c結核予防会複十字病院呼吸器内科
症例は53歳,男性.発熱,頭痛,左上下肢感覚鈍麻を認め,当院へ搬送された.胸部単純CTで肺野びまん性小粒状影を認め,胃液・髄液・尿検体の結核菌PCR陽性が判明し,粟粒結核・結核性髄膜炎と診断された.抗結核薬開始後,胸部画像所見・症状ともに改善していたが,33病日に痙攣が出現した.髄液,脳MRI所見から結核性髄膜炎初期悪化と診断し,脳室ドレナージとステロイド療法が開始された.症状は消失し,胸部画像所見はさらに改善を認めたが,ステロイド減量中の75病日に意識障害が出現.同様の検査結果が得られ,2回目の初期悪化と診断された.
Received 15 Apr 2016 / Accepted 20 Jun 2016
連絡先:寺田 二郎
〒260-8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1
千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
日呼吸誌, 5(6): 326-330, 2016