溺水改善後に発症した急性呼吸窮迫症候群の1剖検例
山本 尚a,b 筒井奈々子b 加澤 敏宏b 篠川真由美b 渡邊 玄c 渡邊佳緒里c
a豊栄病院内科
b南部郷総合病院呼吸器内科
c新潟大学大学院医歯学総合研究科分子細胞医学専攻遺伝子制御講座分子・診断病理学分野
症例は健康な77歳の男性.入浴中に浴槽に沈んでいるところを発見され,救急搬送された.来院時意識障害と呼吸不全を認め,人工呼吸管理を行い,病態は改善.食事,リハビリテーションを開始したが,第8病日に発熱,呼吸困難が再発,画像的にすりガラス状陰影の増悪がみられ溺水改善後の急性呼吸窮迫症候群と診断し,再度集中治療を行ったが,改善なく死亡した.家族の同意が得られ解剖を施行し,肉眼的にはびまん性肺胞傷害(DAD)の所見で,顕微鏡的にはorganized phaseのDADの所見であったが,硝子膜形成を伴わず,広く肺胞上皮の剥離,脱落がみられた.
Received 13 Dec 2015 / Accepted 23 Jul 2016
連絡先:山本 尚
〒950-3327 新潟県新潟市北区石動1-11-1
豊栄病院内科
日呼吸誌, 5(6): 321-325, 2016