S状結腸癌の初発症状として発症した癌性リンパ管症の1例
小口 展生 片山公実子 岡田あすか 村上 伸介 竹中 英昭 長 澄人
済生会吹田病院呼吸器内科
症例は69歳,女性.咳嗽と呼吸困難感の精査目的に当院紹介となった.胸部単純CTで癌性リンパ管症が疑われたが,原発性肺癌を疑う陰影は認めなかった.経気管支肺生検と下部消化管内視鏡検査による大腸生検では腺癌を認め,それぞれ免疫染色の結果から大腸癌による癌性リンパ管症と診断した.癌性リンパ管症の原発巣としては肺癌,乳癌,胃癌の頻度が多いとされているが,大腸癌が原発であったとする報告は少ない.原発不明の癌性リンパ管症を認めた際には,経気管支肺生検を行うとともに,大腸癌の可能性を考慮する必要がある.
Received 29 Mar 2016 / Accepted 10 Aug 2016
連絡先:小口 展生
〒564-0013 大阪府吹田市川園町1-2
済生会吹田病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(6): 307-311, 2016