肺動脈吸引細胞診で腫瘍細胞を認めた乳房外Paget病による肺動脈腫瘍塞栓症の1例
篠原和歌子a 高柳 昇a 石黒 卓a 鍵山 奈保a 清水 禎彦b 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は75歳の男性.3年前より外陰部に皮疹が出現していたが放置していた.10日前から息切れを自覚して当院を受診し,SpO2 79%,胸部CTでは右下葉の一部にすりガラス影があり推定右室収縮期圧65 mmHg,肺血流シンチグラフィで両肺末梢に血流欠損を認めた.肺動脈腫瘍塞栓症を疑い,肺動脈吸引細胞診を行ったところ腫瘍細胞を検出した.外陰部の皮膚生検から乳房外Paget病と診断した.肺動脈吸引細胞診の所見と一致しており,乳房外Paget病による肺動脈腫瘍塞栓症と診断した.
肺動脈腫瘍塞栓症 肺動脈吸引細胞診 肺高血圧 急性呼吸不全 悪性腫瘍
Received 13 Feb 2016 / Accepted 28 Jun 2016
連絡先:篠原 和歌子
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 5(6): 302-306, 2016