治療反応性に乏しい喘鳴と慢性咳嗽の原因が食道アカラシアであった1例
平井 邦朗a,b 小田 成人a 五藤 哲c 村上 雅彦c 相良 博典b
a山梨赤十字病院内科呼吸器内科
b昭和大学医学部内科学講座呼吸器アレルギー内科学部門
c同 消化器・一般外科
症例は17歳,男性.喘鳴と慢性咳嗽を主訴に近医を受診し喘息と診断された.約1年間吸入ステロイド薬/吸入長時間作用性β2刺激薬配合剤による治療が行われたが,反応性に乏しいため山梨赤十字病院に紹介受診した.胸部X線撮影とスパイロメトリーから器質的な気道狭窄が疑われ,精査の結果食道アカラシアと診断,外科的手術療法により喘鳴と咳嗽は消失した.食道アカラシアは呼吸器症状を引き起こしうる疾患であり,治療反応性に乏しい患者を診療した際には食道アカラシアを鑑別疾患として考える必要がある.
Received 6 Feb 2016 / Accepted 20 Jun 2016
連絡先:小田 成人
〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-1
山梨赤十字病院内科呼吸器内科
日呼吸誌, 5(5): 279-283, 2016