
禁煙を契機に発症したと考えられた鳥関連過敏性肺炎の1例
德田 皇治a,b 坂東 政司a 佐多 将史a 吉本多一郎c 武村 民子d 杉山幸比古a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科部門
b芳賀赤十字病院呼吸器内科
c自治医科大学病理学講座統合病理部門
d日本赤十字社医療センター病理部
症例は58歳,男性.18歳時からレース鳩を飼育していた.2011年1月から禁煙し,3月に肺野のすりガラス様陰影を認めた.その後症状および画像所見が悪化したため,精査目的で入院した.胸腔鏡下肺生検で細葉中心性に肺胞中隔のリンパ球浸潤を認めた.一時帰宅時に鳩小屋の掃除をしたところ,発熱,湿性咳嗽の増悪,炎症反応の上昇を認め,鳥関連過敏性肺炎と診断した.経口ステロイド剤の投与開始とともに鳩の飼育を漸減,中止し,症状の再燃なく経過している.本症例では,禁煙が鳥関連過敏性肺炎発症の契機となった可能性が考えられた.
Received 29 Jan 2016 / Accepted 13 Jun 2016
連絡先:德田 皇治
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科部門
日呼吸誌, 5(5): 259-263, 2016