イマチニブ中止後も増悪し外科的肺生検で病理学的検討を行った薬剤性器質化肺炎の1例
内田 章文a 山元 滋樹a 松山 緑a 久保田真吾a 畑中 一仁b 井上 博雅a
a鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
b同 腫瘍学講座病理学分野
症例は73歳,女性.GISTの腹膜播種に対してイマチニブ内服273日目に,自覚症状はなかったが造影CTで気管支血管束を中心に浸潤影を認めた.イマチニブ中止後も陰影は亜急性に増悪し,咳嗽や労作時呼吸困難が出現した.外科的肺生検でリンパ球浸潤を伴うポリープ型腔内線維化を認め,イマチニブによる薬剤性器質化肺炎と診断した.ステロイド治療で自覚症状,浸潤影は改善した.イマチニブによる肺障害は多彩な病型をとり,本症例のように中止後でも増悪しうる.外科的肺生検による病理学的検討は,鑑別や治療反応性の判定に有用であった.
Received 10 Dec 2015 / Accepted 22 Feb 2016
連絡先:井上 博雅
〒890-8520 鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘8-35-1
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 5(4): 208-212, 2016