安定期の潰瘍性大腸炎の経過中に肺実質病変および気道病変を呈した1例
堂嶽 洋一a,b 坂東 政司a 間藤 尚子a 開 陽子c 中山 雅之a 杉山幸比古a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b屋久島町永田へき地出張診療所
c武蔵野赤十字病院
症例は22歳,女性.2003年に潰瘍性大腸炎と診断され,メサラジンの内服で原病は安定していた.2012年より咳嗽,膿性痰を認め,両肺に空洞を伴う浸潤影が出現し,気管支鏡で気管支内腔に多発する白色隆起性病変を確認した.胸腔鏡下肺生検にて化膿性細気管支炎と腔内器質化所見に加え肉芽腫性病変を認めた.多発血管炎性肉芽腫症との鑑別が問題となったが,病理・臨床所見から潰瘍性大腸炎の呼吸器病変と診断した.肺実質病変と気道病変を同時に認める症例はまれであり,原病の病勢とは一致せず発症した点から示唆に富む症例と考えられた.
Received 30 Sep 2015 / Accepted 2 Feb 2016
連絡先:堂嶽 洋一
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 5(3): 131-136, 2016