シロリムスにより難治性乳糜胸腹水が制御できたリンパ脈管筋腫症の1例
山内 浩義 坂東 政司 吉住 直子 古川原春菜 山沢 英明 杉山幸比古
自治医科大学呼吸器内科
症例は50歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し,胸腹部CTにて肺野の多発薄壁嚢胞および胸腹部リンパ節腫大を認めた.開腹下で傍大動脈領域のリンパ節を生検し,平滑筋様細胞の増生を認め,肺野所見と合わせてリンパ脈管筋腫症と臨床診断された.術後から難治性乳糜胸腹水が出現したため,当科を紹介受診した.入院後腹水穿刺排液およびシロリムスの内服を開始し,投与9日目から胸水は著明に減少した.以後も胸腹水の再貯留を認めていないことから,シロリムスがリンパ脈管筋腫症に伴う難治性乳糜胸腹水に対して著効したと考えられた.
Received 6 Oct 2015 / Accepted 22 Dec 2015
連絡先:山内 浩義
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
自治医科大学呼吸器内科
日呼吸誌, 5(2): 101-105, 2016