気管支拡張症に合併したNocardia abscessusによる肺ノカルジア症例
杉野 安輝a 滝 俊一a 三田 亮a 木村 元宏a 髙木 康之a 加藤 早紀b
aトヨタ記念病院呼吸器科
b同 内科
症例は66歳,女性.気管支拡張症の通院中に発熱と血痰で受診.胸部単純CTで気管支拡張所見と右下葉の多発空洞影,両肺野の小葉中心性粒状影を認めた.喀痰培養にてNocardia sp.が3回検出され,肺ノカルジア症と診断.初期治療のメロペネムからST合剤に切り替え,症状,白血球数,CRP,胸部画像所見は改善した.Nocardia菌種は16S rRNA遺伝子解析にてNocardia abscessusと同定された.今後,我が国においても肺ノカルジア症の病原体としてN. abscessusを考慮する必要がある.
気管支拡張症 肺ノカルジア症 Nocardia abscessus, 16S rRNA 薬剤感受性
Received 26 Aug 2015 / Accepted 22 Oct 2015
連絡先:杉野 安輝
〒471-8513 愛知県豊田市平和町1-1
トヨタ記念病院呼吸器科
日呼吸誌, 5(2): 96-100, 2016