胸水貯留を契機に診断した多彩な胸部病変を呈したIgG4関連疾患の1例
矢部 勇人a 夏井坂元基a 矢島 秀教b 松井 利憲c 笠井 潔d
a小樽市立病院呼吸器内科
b札幌医科大学医学部消化器・リウマチ・免疫内科学講座
c小樽市立病院耳鼻咽喉科
d同 病理検査科
症例は79歳,男性.近医で右胸水を指摘され当科紹介となった.胸水の精査加療目的に当科入院となった.右胸水は形質細胞優位の滲出性胸水で胸水排液後の造影CTで縦隔リンパ節の腫脹,左S8の浸潤影と,右S9に26×23 mmの,内部に低吸収域を伴う結節を認めた.左耳下腺生検,CTガイド下で経気管支肺生検を含め精査し,IgG4関連疾患とその胸部病変と診断した.内部に低吸収域を伴う結節影や胸水貯留など多彩な胸部病変を伴うIgG4関連疾患を経験したので報告する.
IgG4関連疾患 IgG4関連呼吸器疾患 多中心性Castleman病 胸水
Received 30 Jun 2015 / Accepted 13 Nov 2015
連絡先:矢部 勇人
〒047-0001 北海道小樽市若松1-1-1
小樽市立病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(2): 90-95, 2016