肺炎球菌ワクチン接種後に発症した間質性肺炎の1例
角 俊行a,b 田部 裕哉a 本庄 統c 本間 裕敏a 猪股慎一郎a 森 雅樹a
aJA北海道厚生連札幌厚生病院呼吸器内科
b札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座
c手稲渓仁会病院呼吸器内科
症例は84歳,男性.2回目の23価肺炎球菌ワクチンを接種した3日後から発熱,呼吸困難が出現した.胸部単純X線写真で浸潤影を認め,抗菌薬治療を行ったが呼吸不全が増悪した.気管挿管を行い,気管支鏡検査を施行したところ,気管支肺胞洗浄液中の総細胞数とリンパ球分画が増加していた.ステロイド治療を行い浸潤影は消退した.ステロイド治療終了後に肺炎球菌ワクチンに対する薬剤リンパ球刺激試験を施行し,陽性であることを確認した.薬剤性肺障害の診断・治療の手引きの診断基準より,間質性肺炎の原因は肺炎球菌ワクチン接種によると考えられた.
肺炎球菌ワクチン 薬剤リンパ球刺激試験 薬剤性肺障害 気管支肺胞洗浄
Received 15 Jul 2015 / Accepted 16 Nov 2015
連絡先:角 俊行
〒060-0033 北海道札幌市中央区北3条東8-5
JA北海道厚生連札幌厚生病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(2): 84-89, 2016