胸腺に発生した大細胞神経内分泌癌の1切除例
黒田 耕志a,b 菅谷 将一a 下川 秀彦a 松下 明弘c 松尾 正樹d 田中 文啓b
a独立行政法人労働者健康福祉機構中部ろうさい病院呼吸器外科
b産業医科大学第2外科
c名古屋大学呼吸器内科
d独立行政法人労働者健康福祉機構中部ろうさい病院呼吸器内科
症例は75歳,女性.高血圧で某医通院中に胸部異常陰影を指摘され,診断・治療目的で当科紹介となった.胸部造影CTで前縦隔右側に36 mmの不均一な造影効果を示す腫瘤を認めた.FDG-PETで腫瘤に一致してFDGの集積を認め(SUVmax:17.16),腫瘍マーカーでは血清CEA,Pro-GRPは高値であった.悪性の前縦隔腫瘍を疑い胸骨正中切開にて腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に胸腺原発の大細胞神経内分泌癌(LCNEC)と診断された.術後57ヶ月現在,無再発生存中である.
Received 6 Aug 2015 / Accepted 20 Nov 2015
連絡先:菅谷 将一
〒455-8530 愛知県名古屋市港区港明1-10-6
独立行政法人労働者健康福祉機構中部ろうさい病院呼吸器外科
日呼吸誌, 5(2): 75-79, 2016