胃切除後,腸閉塞を繰り返した患者に認められた特異なリポイド肺炎の1例
中西 徳彦a 大朏 祐治b 佐伯 和彦a 橘 さやかa 塩尻 正明a 井上 考司a
a愛媛県立中央病院呼吸器内科
b松山市民病院病理診断科
症例は75歳,男性.胃癌術後に腸管癒着による腸閉塞を繰り返していた.両側肺のすりガラス状陰影の精査を行った.気管支肺胞洗浄液では,白濁はなく,リンパ球が著増していた.胸腔鏡下肺生検では,肺胞腔内に多数の泡沫状大型組織球の集積と好酸性浮腫液の貯留を認め,これらはSP-A,KL-6の双方で陽性であった.泡沫細胞出現部位が優勢であったため,肺胞蛋白症様の所見を呈したリポイド肺炎と診断した.Microaspirationのために特異なリポイド肺炎を生じたと考えられ,徹底した誤嚥予防により胸部陰影は改善した.
Received 17 Feb 2015 / Accepted 24 Aug 2015
連絡先:中西 徳彦
〒790-0024 愛媛県松山市春日町83
愛媛県立中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(1): 46-51, 2016