ゾレドロン酸単独投与により原発巣および骨転移巣の縮小を得た肺腺癌の1例
島田 裕之a 井上 幸久a,b 原 哲a 川上 直樹a,c 山内 秀太a 神 靖人a
a平塚共済病院呼吸器科
b東京医科歯科大学呼吸器内科
c土浦協同病院呼吸器内科
症例は72歳,男性.左上葉原発肺腺癌,左第9肋骨転移の診断で化学療法にデノスマブ投与を併用していた.しかし治療開始後9ヶ月時点で,原発巣と骨転移巣の増大を認め,緩和医療のみ継続する方針となった.その際にデノスマブをゾレドロン酸に変更したところ,変更後に原発巣と骨転移巣の縮小を認めた.現在もゾレドロン酸を継続投与中で,21ヶ月経過時点で原発巣の最大径は81 mmから41 mmに縮小,肋骨転移も縮小し疼痛は消失した.ゾレドロン酸投与による抗腫瘍効果を認めたまれな症例であり,その機序の考察を含め報告する.
Received 22 Jun 2015 / Accepted 19 Sep 2015
連絡先:島田 裕之
〒254-8502 神奈川県平塚市追分9-11
平塚共済病院呼吸器科
日呼吸誌, 5(1): 8-12, 2016