肺全摘後症候群に伴う急性呼吸不全に対して胸腔内ガス注入療法が著効した1例
妹尾 賢a 久保 寿夫b 二宮貴一朗c 岡田 俊明a 鷲尾 一浩d 張田 信吾a
a公立学校共済組合中国中央病院呼吸器内科
b岡山大学病院腫瘍センター
c岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科
d公立学校共済組合中国中央病院呼吸器外科
症例は52歳,男性.左上葉原発の肺腺癌(cT2aN1M0,Stage IIA)に対し,左肺全摘術が施行された.術後再発のため化学療法を施行したが,急性呼吸不全のため緊急入院となった.肺全摘後症候群による急性呼吸不全と診断し,胸腔内ガス注入療法を行い,劇的な改善が得られた.その後も胸腔内ガス注入療法を併用しながら,化学療法を継続中である.肺全摘後症候群はまれな合併症であるが,治療に難渋することが多い.胸腔内ガス注入療法は,迅速かつ低侵襲で行える治療であり,化学療法とも併用できる有用な治療と考えられた.
肺全摘後症候群 急性呼吸不全 オクタフルオロプロパン(C3F8) 胸腔内ガス注入 化学療法
Received 30 Dec 2014 / Accepted 25 Jun 2015
連絡先:久保 寿夫
〒700-8558 岡山県岡山市鹿田町2-5-1
公立学校共済組合中国中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(6): 488-491, 2015