カルボプラチンが誘因と考えられるバソプレシン分泌過剰症を呈した肺腺癌の1例
澤田 宗生a 平本 久子b 玉置健一郎b 竹嶋 好b 久保 嘉朗b
a国立病院機構奈良医療センター呼吸器内科
b関西電力病院呼吸器内科
症例は71歳,女性.肺腺癌(cT2aN2M1b Stage IV),多発骨転移,癌性胸膜炎,EGFR遺伝子変異陽性と診断され1次治療ゲフィチニブ(肝障害で中止),2次治療エルロチニブ(胸水増加とCEA上昇で中止)が行われた.次にカルボプラチン,ペメトレキセド併用療法が行われ2コース目で低Na血症を認めた.脳転移も指摘されたが関連はなく,カルボプラチン誘因のバソプレシン分泌過剰症(SIADH)と考えられた.SIADHは,化学療法の1コース目で起こらなかった場合でも2コース目以降に発症する可能性もあり,鑑別診断として念頭に置く必要がある.
Received 12 Mar 2015 / Accepted 16 Jun 2015
連絡先:澤田 宗生
〒630-8053 奈良県奈良市七条2-789
国立病院機構奈良医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 4(6): 428-432, 2015