石綿曝露と重喫煙を背景とする原発性悪性心膜中皮腫と原発性肺癌の同時性重複癌の1例
a国家公務員共済組合連合会立川病院呼吸器内科
b同 内科
c同 放射線科
d同 病理科
症例は70歳の男性.主訴は発熱,血痰であり,両側の胸水貯留と肺腫瘤陰影の精査で入院となった.ブリンクマン指数が1,500の重喫煙者であり,職業性石綿曝露歴が確認された.収縮性心膜炎の増悪で死亡し,剖検施行後,原発性悪性心膜中皮腫と原発性肺腺癌の同時性重複癌であったことが判明した.また,心膜中皮腫の左肺への直接浸潤と左副腎,右肺,食道,縦隔リンパ節への転移が確認され,右肺転移巣には中皮腫とは明らかに異なる肺腺癌組織の存在が確認された.さらに免疫組織化学的には,中皮腫は一部にCEA弱陽性を呈する上皮型であった.
原発性悪性心膜中皮腫 原発性肺腺癌 免疫組織化学染色 癌胎児性抗原
Received 11 Jul 2014 / Accepted 10 Aug 2015
連絡先:藤田 隆則
〒190-8531 東京都立川市錦町4-2-22
国家公務員共済組合連合会立川病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(6): 423-427, 2015