小細胞肺癌・間質性肺炎の治療中に播種性水痘を発症し死亡した1例
大前美奈子a 横村 光司a 阿部 岳文a 秋山 訓通a 野末 剛史a 須田 隆文b
a聖隷三方原病院呼吸器内科
b浜松医科大学呼吸器内科
症例は76歳,女性.間質性肺炎合併小細胞肺癌に対する化学療法中に間質性肺炎の増悪をきたした.Prednisolone 30 mg/日の内服で間質性肺炎は安定したが,1ヶ月後に水痘を発症し,多臓器不全・播種性血管内凝固症候群を併発してわずか1日の経過で死亡した.水痘発症の2週間前に夫が帯状疱疹を発症していたことが判明し,感染源と考えられた.抗癌剤やステロイド使用中の免疫抑制状態にある患者が水痘を発症した場合,重症化し致死的な経過をとる場合もあることが報告されており,十分な注意が必要と考えられたため報告する.
Received 6 Mar 2015 / Accepted 25 May 2015
連絡先:大前 美奈子
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 403-407, 2015