アルコール性肝硬変に合併した侵襲性肺アスペルギルス症の1剖検例
西馬 照明a 長谷川 章b 木村 研吾a 植田 史朗a 岡村 明治c
a地方独立行政法人加古川市民病院機構加古川西市民病院呼吸器内科
b同 内科
c同 病理診断科
症例は,大量飲酒の42歳,アルコール性肝硬変男性.1週間持続する発熱・咳嗽で当院に転院した.両側上肺野の浸潤影が急速拡大・空洞形成をきたし抗菌薬は無効であった.β-D-グルカン高値・沈降抗体陽性から侵襲性肺アスペルギルス症と診断した.気管支洗浄液よりAspergillus fumigatusが検出され,抗真菌剤の併用も効果なく入院14日目に死亡した.病理解剖では多数の壊死性空洞と気道侵襲型を示す,真菌の炎症性滲出を認めた.アルコール性肝硬変は若年無治療例でもアスペルギルス感染の危険因子の一つであることが示された.
侵襲性肺アスペルギルス症 アルコール性肝硬変 特発性細菌性腹膜炎 Aspergillus fumigatus
Received 15 Jan 2015 / Accepted 12 Jun 2015
連絡先:西馬 照明
〒675-8611 兵庫県加古川市米田町平津384-1
地方独立行政法人加古川市民病院機構加古川西市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 398-402, 2015