製パン職人に発症した自家製パン酵母による過敏性肺炎の1例
汐谷 心 大塚 満雄 錦織 博貴 北田 順也 山田 玄 高橋 弘毅
札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座
症例は39歳,男性.発熱,咳嗽,呼吸困難と胸部異常陰影で近医より紹介された.胸部単純CTで両側肺野の淡い濃度上昇と粒状影,肺生検では胞隔炎と非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,過敏性肺炎が疑われた.患者は製パン職人で,発症直前から自家製パン酵母を使用していた.その酵母液からSaccharomyces cerevisiaeが単離され,患者血清との沈降抗体反応は陽性であり,同酵母が原因と考えられる過敏性肺炎と診断した.パン製造に使用したS. cerevisiaeを原因とする過敏性肺炎の報告は本症例が初である.
Saccharomyces cerevisiae パン酵母 過敏性肺炎
Received 15 Mar 2015 / Accepted 27 Apr 2015
連絡先:汐谷 心
〒060-8543 北海道札幌市中央区南1条西16丁目
札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座
日呼吸誌, 4(5): 380-384, 2015