組織型が異なる同時性三重多発肺癌の1症例
洞口 亮a 進藤百合子a 関 由美加a 須田 祐司a 飯島 秀弥a 田畑 俊治b
a仙台市医療センター仙台オープン病院呼吸器内科
b東北薬科大学病院呼吸器外科
症例は78歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部CTで左S1+2に2個,右S6に1個の腫瘤影を認め,左S1+2の腫瘤に対する気管支鏡下肺生検で腺癌と診断された.3個の腫瘤の画像的特徴が異なり,リンパ節および遠隔転移所見を認めなかったため,胸腔鏡下左肺上区区域切除術および右下葉部分切除術を施行した.病理学的検討にて,左S1+2の腫瘍は腺癌と大細胞癌,右S6の腫瘍は扁平上皮癌で,同時性三重多発肺癌と診断された.多発癌の存在を念頭に置くことは治療方針決定に重要である.
Received 25 Feb 2015 / Accepted 9 Jun 2015
連絡先:進藤 百合子
〒983-0824 宮城県仙台市宮城野区鶴ヶ谷5-22-1
仙台市医療センター仙台オープン病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 357-360, 2015