動悸を契機に診断に至った肺混合型小細胞癌の心臓浸潤の1剖検例
木下賀央里 山口 朋禎 春原 沙織 板倉 潮人 本郷 公英 臼杵 二郎
日本医科大学武蔵小杉病院呼吸器内科
症例は77歳,男性.労作時の動悸を主訴に近医を受診した.心臓超音波検査にて心臓内に腫瘤を認めたため当院へ紹介となり,各種検査の結果,左下葉を原発とする肺癌の左房浸潤の診断に至った.緩和治療および脳転移に対する全脳照射のみで比較的長期生存が得られ,剖検にて肺混合型小細胞癌の組織診断に至った.肺癌の心臓浸潤では,不整脈などさまざまな心臓の合併症を伴い,突然死のリスクも高いとされている.動悸などの循環器症状を主訴とする場合にも,肺癌をはじめとする呼吸器疾患の可能性を考慮すべきである.剖検所見とともに報告する.
Received 22 Nov 2014 / Accepted 22 Apr 2015
連絡先:木下 賀央里
〒211-8533 神奈川県川崎市中原区小杉町1-396
日本医科大学武蔵小杉病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 352-356, 2015