シスプラチンを含む抗がん化学療法中に急性大動脈血栓症をきたした進行肺腺癌の1例
青木 亮太a 柏原 光介a 藤井 慎嗣a 津村 真介a 千場 博a 田中英一郎b
a熊本地域医療センター呼吸器内科
bせんだメディカルクリニック
症例は64歳,男性.主訴は呼吸困難.左上葉肺腺癌 cT1bN3M1b(脳転移,悪性心嚢液)Stage IV EGFR遺伝子変異陰性およびALK遺伝子転座陰性の診断で,シスプラチン+ペメトレキセドで一次治療を開始した.腫瘍のコントロールは良好であったものの,2サイクル目開始時に大動脈弓部内に動脈血栓が観察された.抗凝固療法を併用して細胞傷害性抗がん剤治療を継続したが合併症なく経過し,血栓は消失している.シスプラチンを含む化学療法に関連した急性大動脈血栓症はまれな合併症であり,文献的考察を含め報告する.
Received 16 Dec 2014 / Accepted 3 Apr 2015
連絡先:柏原 光介
〒860-0811 熊本県熊本市中央区本荘5-16-10
熊本地域医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 4(4): 288-292, 2015