超高齢者EML4-ALK肺癌におけるクリゾチニブ奏効例に生じた洞性徐脈
林 和菜a 山岸 智子b,c 越智 宣昭b 本多 宣裕b 山根 弘路b 瀧川奈義夫b
a川崎医科大学附属川崎病院臨床教育研修センター
b川崎医科大学総合内科学4
c岡山労災病院呼吸器内科
症例は89歳,男性.7ヶ月前に左下葉肺腺癌(T3N3M1b,stage IV)と診断し化学療法を施行したが,左胸水の増加を認めた.胸水細胞診はclass Vで,EML4-ALK融合遺伝子が検出された.クリゾチニブ投与を開始したところ,5週後のPET検査で原発巣を含めて明らかなフルオロデオキシグルコースの集積は認められなかった.治療開始6週後にQT延長症候群を伴わない無症状の洞性徐脈(45/min)を認めたが,減量にて改善した.クリゾチニブによる徐脈は高齢者に多いとされ,注意すべき有害事象の一つと考えられた.
肺腺癌 EML4-ALK融合遺伝子 クリゾチニブ 高齢者 徐脈
Received 2 Feb 2015 / Accepted 19 Mar 2015
連絡先:瀧川 奈義夫
〒700-8505 岡山県岡山市北区中山下2-1-80
川崎医科大学附属川崎病院臨床教育研修センター
日呼吸誌, 4(4): 278-282, 2015