ゴルフクラブ製造業者に発症した慢性ベリリウム症の1例
樋田 和弘a 渡邉 一孝a 石原 裕a 鈴木 康仁b 谷野 功典b 棟方 充b
a山梨大学医学部循環器呼吸器内科
b福島県立医科大学呼吸器内科
患者は,ゴルフクラブ製造に約10年間従事したことのある37歳の男性.労作時の呼吸困難を主訴に受診した.胸部X線およびCTでは縦隔リンパ節腫脹と両側肺の線維化を,呼吸機能検査では拘束性換気障害と拡散能の低下を認めた.外科的肺生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を伴う間質の線維化を認めた.ベリリウム合金を使ったゴルフクラブの試作に短期間従事していたことが判明し,慢性ベリリウム症が疑われた.硫酸ベリリウムを被疑薬とした薬剤リンパ球刺激試験を臨床検査会社に依頼して行ったところ陽性となり,診断が確定した.
Received 22 Sep 2014 / Accepted 16 Feb 2015
連絡先:石原 裕
〒400-3898 山梨県中央市下河東1,110
山梨大学医学部循環器呼吸器内科
日呼吸誌, 4(3): 253-256, 2015