心臓病変の発症前に経時的な心電図変化が観察されたサルコイドーシスの1例
宮下 直也a 山口 哲生a 川述 剛士a 河野千代子a 山田 嘉仁a 廣江 道昭b
aJR東京総合病院呼吸器内科
b国立国際医療研究センター循環器科
症例は80歳,女性.74歳時にサルコイドーシスと診断され,ステロイド少量内服を継続していた.診断後4年目に完全右脚ブロックを,5年目にI度房室ブロックを認めたが無症状であった.翌年に心不全を発症し,FDG-PET検査で肺門縦隔リンパ節と心臓の前壁中隔,側壁,右室に集積を認めた.本症の心臓病変と考え治療を強化し,房室ブロックとFDG-PET検査所見の改善を認めた.呼吸器内科医が本症を観察する際には心臓病変の出現に注意する必要があるが,無症状でも経時的な心電図変化の観察の重要性が示唆された.
サルコイドーシス 心電図 房室ブロック 心臓病変 FDG-PET
Received 26 Dec 2014 / Accepted 16 Feb 2015
連絡先:宮下 直也
〒151-8528 東京都渋谷区代々木2-1-3
JR東京総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(3): 244-248, 2015