アスベスト曝露歴のある原発性悪性心膜中皮腫の1剖検例
関口 恵史a,b 花房 徹郎c 落合 甲太c 福島 啓c 大島 民旗c 木野 茂生d
a西淀病院
b聖ルチア病院
c西淀病院地域総合内科
d耳原総合病院病理診断科
症例は69歳,男性,鉄道車両の配管工作業に従事していた.入院約30年前に胸部X線写真で異常陰影を指摘されたが検査を自己中断した.約1ヶ月前に近医を受診し石灰化胸膜プラークを認め,悪性胸膜中皮腫の疑いと緩和ケア目的で入院となったが,入院44日目に誤嚥性肺炎を合併し急性呼吸不全で死亡した.病理解剖で原発性悪性心膜中皮腫(二相型中皮腫)と診断された.本症例は元事業主への聞き取り調査で職業性アスベスト曝露歴を明らかにし,かつ病理診断をした貴重な症例であり,これらの関連性を示唆する症例と考えられた.
Received 12 Apr 2014 / Accepted 4 Dec 2014
連絡先:福島 啓
〒555-0024 大阪府大阪市西淀川区野里3-5-22
西淀病院
日呼吸誌, 4(2): 153-157, 2015