急性虫垂炎の発症により虫垂転移が判明した肺腺癌の1例
河口 知允a 山本 悠造a 武居 晋b 山元 啓文b 中島 豊c 出水みいるa
a福岡赤十字病院呼吸器内科
b同 外科
c同 病理診断科
症例は70歳,女性で,2012年3月中旬に胸腹部CT写真で右下葉に結節影が指摘され,肺腺癌stage IVと診断された.直ちに,cisplatin+pemetrexedによる化学療法が開始された.同年5月,化学療法目的に入院した際に右下腹部に鈍痛を認め,腹部CT検査を施行し急性虫垂炎と診断された.同日虫垂切除術を施行したところ肺癌の虫垂転移が判明し,転移巣による内腔の狭小化が虫垂炎を発症した原因と考えられた.肺癌の虫垂転移は比較的まれであり報告例も少ないため,今回若干の文献的考察を加え報告する.
Received 19 Sep 2014 / Accepted 12 Dec 2014
連絡先:河口 知允
〒815-8555 福岡県福岡市南区大楠3-1-1
福岡赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(2): 149-152, 2015