囊胞形成の経過を確認しえた成人T細胞白血病を背景としたニューモシスチス肺炎の1例
柴原 大典a,b 大湾 勤子b 知花 賢治a,b 仲本 敦b 原永 修作a 藤田 次郎a
a琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座
b独立行政法人国立病院機構沖縄病院呼吸器内科
症例は70歳,男性.数日前からの発熱を主訴に近医を受診し,肺炎の診断で種々の抗菌薬で治療するも改善せずに約1ヶ月かけて増悪した.画像にてすりガラス様陰影と浸潤影を認め,呼吸不全を呈したため国立病院機構沖縄病院に紹介となり,気管支肺胞洗浄を施行しニューモシスチス肺炎と診断した.治療にて症状や画像は改善傾向を認めているにもかかわらず囊胞が形成され,背景として成人T細胞白血病の合併が判明した.HIV感染者のニューモシスチス肺炎に多い囊胞形成の経過を成人T細胞白血病患者において確認しえた,貴重な症例であると思われた.
囊胞形成 成人T細胞白血病 ニューモシスチス肺炎 HTLV-1
Received 16 Jul 2014 / Accepted 22 Sep 2014
連絡先:柴原 大典
〒904-0215 沖縄県西原町字上原207
琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座
日呼吸誌, 4(1): 96-100, 2015