胸水中adenosine deaminaseが高値を示し局所麻酔下胸腔鏡検査で診断確定した悪性胸膜中皮腫の1例
公立八鹿病院呼吸器科
症例は84歳,男性.胸部X線写真にて右胸水を指摘され,公立八鹿病院紹介受診.胸部CTでは右胸水,胸膜に沿った結節影や胸膜肥厚を認めた.精査のため局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した.胸水中adenosine deaminase(ADA)116 IU/Lと高値であった.壁側胸膜に隆起性病変をびまん性に認め,臓側胸膜にも病変が存在し,胸膜生検にて二相型悪性胸膜中皮腫と診断した.高齢者でも局所麻酔下胸腔鏡検査は安全に施行できた.悪性胸膜中皮腫では胸水中ADAが上昇している場合があり,結核性胸膜炎と鑑別し診断確定のために局所麻酔下胸腔鏡検査が有用である.
悪性胸膜中皮腫 Adenosine deaminase(ADA) 局所麻酔下胸腔鏡 胸水
Received 13 Apr 2014 / Accepted 25 Sep 2014
連絡先:寺下 聡
〒667-8555 兵庫県養父市八鹿町八鹿1878-1
公立八鹿病院呼吸器科
日呼吸誌, 4(1): 72-75, 2015