強直性脊椎骨増殖症に伴う気管閉塞による陰圧性肺胞出血の1例
伊藤 光佑a 吉田 有吾a 立和田 隆a 伊藤 千与a 粟屋 幸一b
a北九州市立八幡病院内科
b島根大学医学部内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学
症例は73歳,男性.気管支喘息の診断で北九州市立八幡病院(当院)内科外来治療歴があった.1ヶ月ほど前より呼吸困難が徐々に進行し,急激に悪化したため当院へ救急搬送された.胸部X線写真,CTで頸椎~胸椎前面の連続する骨化・癒合と気管閉塞を認め,強直性脊椎骨増殖症と診断した.また,両肺にびまん性のすりガラス影,浸潤影を認めた.気管支鏡検査で血性の肺胞洗浄液を回収し,肺胞出血の原因となる基礎疾患は認めず,強直性脊椎骨増殖症に伴う気管閉塞による陰圧性肺胞出血と診断した.強直性脊椎骨増殖症による肺胞出血の報告はなく,まれな症例と考えた.
Received 29 May 2014 / Accepted 23 Jul 2014
連絡先:伊藤 光佑
〒805-0061 福岡県北九州市八幡東区西本町4-18-1
北九州市立八幡病院内科
日呼吸誌, 3(6): 832-836, 2014