慢性咳嗽と経年的に進行する閉塞性換気障害を認めたIgG4関連疾患の1例
北島 尚昌a 石床 学a 丸毛 聡a 櫻本 稔a 弓場 吉哲b 福井 基成a
a公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器センター
b同 病理診断科
症例は76歳,男性.糖尿病,Sjögren症候群で加療中に,何年も続く難治性咳嗽や経年的に進行する閉塞性換気障害,CTで気管支壁の肥厚を認めた.血清IgG4高値と,リンパ球とIgG4陽性細胞の浸潤を伴う気管支粘膜,自己免疫性膵炎やMikulicz病に矛盾しない既往歴からIgG4関連肺疾患が強く疑われた.気管支拡張薬の吸入に加えてステロイド内服により咳嗽や閉塞性換気障害,気管支壁肥厚は改善した.原因不明の慢性咳嗽に加えて気管支壁肥厚や閉塞性換気障害を伴う場合は,IgG4関連疾患も念頭に置くべきである.
Received 24 Mar 2014 / Accepted 10 Jul 2014
連絡先:北島 尚昌
〒530-8480 大阪市北区扇町2-4-20
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器センター
日呼吸誌, 3(6): 818-822, 2014