急激な経過をとり顆粒球コロニー刺激因子の産生が疑われた悪性胸膜中皮腫の1例
加藤あかねa,* 田中 泰裕b 曽根原 圭a 小松 佳道a 酒井 康弘c 中村 智次d 蜂谷 勤a
a諏訪赤十字病院呼吸器科
b同 教育研修センター
c信州大学大学院医学系研究科分子病理学講座
d諏訪赤十字病院病理部
*現 信州大学医学部内科学第一教室
症例は60歳,男性.咳嗽と呼吸困難を訴え,諏訪赤十字病院に救急搬送された.胸部CTでは左胸水と胸壁腫瘤を認め,胸水検査所見より悪性胸膜中皮腫と診断した.化学療法を施行したが腫瘤は急速に増大し,入院第39病日に呼吸不全のため死亡した.経過中,白血球増多を認め,死亡直前には47,900/μlに達した.病理解剖では,腫瘍細胞は顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)染色陽性であり,G-CSF産生腫瘍が疑われ,予後に関連したと考えられた.
Received 13 Mar 2014 / Accepted 27 Jun 2014
連絡先:加藤 あかね
〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1(現所属)
信州大学医学部内科学第一教室
日呼吸誌, 3(5): 700-703, 2014