
経過中に出産を経験した肺類上皮血管内皮腫の1例
森下めぐみ 大野 康 柳瀬 恒明 伊藤 文隆 遠渡 純輝 湊口 信也
岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科
症例は34歳,女性.職場の健診にて胸部X線写真上,肺野異常影を認め,胸腔鏡下肺生検にて肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma:PEH)と診断した.PEHは血管内皮細胞由来のまれな腫瘍であり,我が国における報告は現在までで自験例を含め66例程度である.本疾患は比較的緩徐な経過をとることが多いが,時に急速な経過をたどることがある.本症例では診断確定後に妊娠,出産を経験し,その後も明らかな増悪を認めず現在約5年半が経過している.
Received 19 Dec 2013 / Accepted 30 Apr 2014
連絡先:森下 めぐみ
〒501-1194 岐阜市柳戸1-1
岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(5): 685-689, 2014