びまん性すりガラス陰影から鑑別を要したAIDS関連肺カポジ肉腫の1例
塩野 文子a 平間 崇a 三尾 友彦a 金 玲b 永田 真a 萩原 弘一a 金澤 實a
a埼玉医科大学呼吸器内科
b同 病理学
カポジ肉腫は後天性免疫不全症候群(AIDS)関連悪性腫瘍で最も多くみられる疾患であるが,肺原発カポジ肉腫は比較的まれである.我々は胸部CTでびまん性すりガラス陰影(ground-glass opacity:GGO)を主体とした肺カポジ肉腫の1例を経験したので報告する.症例は33歳の男性.AIDS関連Pneumocystis jirovecii肺炎(PCP)のため埼玉医科大学病院へ搬送された.胸部CTではびまん性GGO主体の所見がみられた.気管内採痰のPCRでP. jiroveciiが検出され,AIDS関連PCPと診断した.速やかに治療を開始したにもかかわらず,呼吸不全が悪化し第26病日に死亡した.病理解剖では,胸部CTでは指摘困難な大小不同の多発性の結節を全肺葉に認め,免疫染色の所見等よりカポジ肉腫と診断された.肺以外にはカポジ肉腫を認めなかった.本症例のように,AIDS進行期にGGOや網状影を認める場合,肺カポジ肉腫も考慮すべきであると考える.
カポジ肉腫 肺カポジ肉腫 後天性免疫不全症候群(AIDS) ニューモシスチス肺炎 肺内多発結節
Received 10 Dec 2013 / Accepted 30 Mar 2014
連絡先:平間 崇
〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
埼玉医科大学呼吸器内科
日呼吸誌, 3(5): 675-679, 2014